脳卒中
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初回血管撮影で出血源が診断できなかったくも膜下出血例の検討特に予後不良例の臨床像について
角田 朗徳川 城治富田 禎之丸木 親
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2006 年 28 巻 3 号 p. 391-395

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抄録

初回血管撮影で出血源が確定出来なかったくも膜下出血(SAHUE)例の臨床像について,自験例で検討した.1997.1~2005.6までに当院に入院した非外傷性SAH連続325例中,初回血管撮影で出血源が診断されなかった34例を対象.最終的に出血源不明で,再出血もきたさなかった15例をgroup A,出血源が判明した,或るいは再出血をきたした19例をgroup Bとして,その臨床像を比較検討した.Group Bはgroup Aに比べて,入院時症状・CT上の血腫量・症候性血管攣縮・水頭症の有無・最終的予後,のいずれについても重症度が高い傾向があきらかであった.最終的に出血源が判明したのは15例で,内頚動脈系と椎骨脳底動脈系が各6例と多かった.前者のうち,5例がいわゆる内頚動脈前壁動脈瘤(ICA)であった.SAHUEは,明らかな出血源がみられず予後良好な群は半数程度で,破裂動脈瘤の存在する通常のSAHも多く含まれている.中でも特に予後不良な転帰をとる例はICAの含まれている可能性が高く,注意を要する.

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