脳卒中
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痙攣重積で発症し,MR画像上広範な可逆性病変を認めた多発性硬膜動静脈瘻の1例
柳原 千枝片山 重則高橋 竜一和田 裕子西村 洋
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2006 年 28 巻 3 号 p. 419-425

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抄録

DAVFにおけるMR画像所見として,可逆的な病変が大脳白質に出現することはあるが,皮質中心の病変の報告例はない.今回我々は意識障害と痙攣重積で発症し大脳皮質と皮質下白質表層を中心とした広範な病巣が可逆性に出現した多発性硬膜動静脈瘻(DAVF)の1例を経験した.症例は62歳男性.20年前に脳梗塞の既往があり,10年前から間欠的に痙攣発作が出現していたが特に精査加療は行っていなかった.右半身を中心とした痙攣重積で発症し,静脈洞血栓症を伴う多発性DAVFを認めた.頭部MRIでは左大脳半球の皮質を中心に広範な病変がT2強調画像とFLAIR画像で出現し,臨床症状の改善とともに消失したが,白質に一部虚血性病変が残存した.痙攣重積時にMR画像で広範な可逆性病変が皮質に出現することは知られているがDAVFでの報告はなく,本例ではうっ血による還流障害によりMR上可逆性の病変が出現したと考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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