脳卒中
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RAT局所脳虚血モデルにおける骨髄間葉系幹細胞の投与方法による分布と脳保護効果
加藤 健吾島崎 久仁子神谷 達司横田 英典宮脇 貴裕小黒 恵司上田 雅之雨宮 志門西山 康裕須田 智渡辺 英寿岡部 勝菅野 龍彦片山 泰朗
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2006 年 28 巻 4 号 p. 607-611

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抄録

局所脳虚血急性期での骨髄間葉系幹細胞(MSC)の投与により,梗塞巣の縮小効果が報告されている.われわれは,SD系RATを用いて90分間の中大脳動脈脈閉塞(MCAO)モデルを作成し,3時間後に静脈内投与・脳室内投与,大槽内投与および脳内投与でMSCを移植しGFP蛍光を指標として,投与方法におけるMSCの分布を検討した.またTTC染色を用いてMCAO48時間後に梗塞巣の縮小効果を評価した.梗塞側の側脳室内投与では,投与側の側脳室に近接した線条体に著明な集積を示し,大脳皮質にわずかの集積を認めるのみであった.静脈内投与では線条体,大脳皮質のペナンブラ領域に多く集積を認めた.集積は線条体でより強かった.大槽内投与では投与部位周囲の視床・線条体・大脳皮質に著明な集積を認めた.MSCは大脳皮質よりも線条体に集積しやすい傾向を示した.これに対して,梗塞巣の縮小効果は線条体よりも大脳皮質で効果が大きかった.MSCがわずかしか存在しない部位にもかかわらず梗塞巣の縮小効果が骨髄細胞が多く集積した部位よりも大きかったことより,MSCによる脳保護効果は移植細胞や周囲のグリア細胞よりの栄養因子などの放出など間接的な要因によるものが考えられる.また,脳へのMSCの集積は投与付近のペナンブラ領域に速やかに集積するものと考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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