脳卒中
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慢性期脳卒中患者の糖蛋白質分解酵素に関する研究
総頚動脈, 患側内頚静脈, 健側内頚静脈における比較検討
渋谷 耕司金沢 武道井沢 和弘小野寺 庚午目時 弘文
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1981 年 3 巻 4 号 p. 349-355

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抄録

脳卒中慢性期における血清糖蛋白質分解酵素活性を肘静脈血, 総頚動脈血, 患側 (病巣側) 内頚静脈血, 健側内頚静脈血について測定し比較検討した.また, 非脳卒中についても同様に検討した, 測定した酵素はN-acetyl-β-D-glucosaminidase (以下NAGAと略す), β-D-galactosidase, α-D-mannosidaseの3種類である.
1) 脳卒中慢性期の肘静脈血における酵素活性はNAGAのみが高値であった.
2) 非脳卒中の総頚動脈血, 左右内頚静脈血の酵素活性は3種の何れの酵素においても3者間に差はみられなかった.
3) 脳卒中慢性期における血清NAGA活性は総頚動脈に比して, 患側内頚静脈では差はなく, 健側内頚静脈で高値を示した.β-D-galactosidase活性ならびにα-D-mannosidase活性は総頚動脈血, 患側内頚静脈血, 健側内頚静脈血の3者間に差はなかった.
以上の成績から, 脳卒中慢性期における肘静脈血のNAGA活性の高値の由来は, 脳の傷害病巣から直接遊出したものではなく, むしろ病巣の変化に対応する健側脳の2次的な反応と考えられる.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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