脳卒中
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脳血管障害と血清dopamine-β-hydroxylase活性について
小松本 悟後藤 文男島津 邦男荒木 信夫五味 愼太郎
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1982 年 4 巻 4 号 p. 291-296

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抄録

脳血管障害50例について, ノルアドレナリン生成酵素であるDopamine-β-hydroxylase (DβH) 活性の立場より, 自律神経機能の変動とその予後との関連について検討した. (1) 急性期5H以内の閉塞性疾患の血清DβH活性は16.3±6.6u (mean±SE) であり, 一方, 出血性疾患においては26.9±4.4uを示し, 前者に比し有意に大であった (P<0.05). (2) 両疾患群ともに, 血清DβH活性は発作後極めて早期に上昇して, その後下降を始め, 7日目よりほぼ一定の値を示した. (3) 出血性疾患の血清DβH活性は, 閉塞性疾患に比し, 経過中より大きな変動がみられ, また高い値を示す傾向があった. (4) 閉塞性疾患においては, 退院時歩行可能であった群の血清DβH活性は22.8±2.1u, 車イスあるいは座位可能となり退院した群は12.2±2.3u, 臥位のまま退院あるいは死亡した群は7.4±2.9uであった.出血性疾患においてはそれぞれ24.6±2.5u, 13.8u, 10.2±2.2uであった.閉塞・出血性疾患ともに, 予後不良群は良好群に比し血清DβH活性は有意に低値であった.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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