脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
脳血栓症を来した原発性血小板血症3例の臨床的検討
高 昌星塚田 直敬上條 順子柳沢 信夫塚越 廣
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 4 巻 4 号 p. 303-309

詳細
抄録

脳血栓症を来した原発性血小板血症53歳男, 55歳男, 76歳女の3例を経験し, 臨床症状, 凝血能につき検討を行った.全例とも一過性脳虚血発作を前駆し, 中年以後の発症で, 2例に肝脾腫を認めた.血液検査では全例血小板数100万/mm3以上が持続し, 赤血球, 白血球数はほぼ正常.骨髄は過形成, 巨核球数の増加を認め, 白血病浸潤はみられず, 骨髄細胞のPh'染色体は陰性で, 好中球アルカリフォスファターゼ染色は正常.凝血学的検査では1例で出血時間の延長を認め, 2例にフロトロンビン時間の延長があり, 部分トロンボフラスチン時間, フィブリノーゲンは正常であった.トロンボエラストグラムは凝固亢進状態を示したが, 30万/mm3に希釈した血小板凝集能は全例で低下していた.原発性血小板血症による一過性脳虚血発作の詳細な報告はほとんどなく, 本症は治療可能であり, 早期に発見することにより, 血栓, 出血を予防できるものと考えられるので報告する.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top