脳卒中
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頭蓋内圧亢進時のhyperventilation療法の検討
中山 賢司宮坂 佳男高木 宏
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1983 年 5 巻 4 号 p. 295-301

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抄録

頭蓋内圧 (ICP) 亢進時に, hyperventilatlonがICPを下降させることはよく知られ, 減圧療法として臨床的に施行されている.しかし, このhyperventilationは動脈血炭酸ガス分圧 (PaCO, ) を低下させるため, 脳血流量を減少させるという欠点をもっている.そこで, 硬膜外バルーン加圧によるICP亢進モデルを作製し, 脳浮腫が出現しない急性期において, 白質組織の局所脳血流量 (rCBF) とICP, およびPaCO2の相互関係を動的に検索し, どの程度のhyperventilationが, 脳循環動態の面からみて妥当であるかを検討した.
その結果, PaCO230mmHgレベルのhyperventilationは, ほぼ最大までのICP下降効果を有し, rCBFの減少も高度ではなく, 減圧療法として妥当なものであった.しかし, PaCO220mmHgレベルの過度なhyperventilationでは, より多くのICP下降効果は期待できないだけでなく, rCBF減少もcritical levelにまで減少し, 脳虚血状態をひきおこす可能性があり, 減圧療法として不適当であった.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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