脳卒中
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重症脳梗塞一剖検例と実験例との対比
柴田 尚武井上 優堤 健二森 和夫金子 満雄
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1983 年 5 巻 4 号 p. 311-322

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抄録

重症脳梗塞で死亡した4症例につき, CT所見と剖検における病理学的所見を検索し, さらに大脳半球大梗塞モデル犬で得た病理学的所見とを対比して検討を加えた. (1) 剖検例と実験例で類似の病理学的所見を得た.すなわち中大脳動脈領域に広範囲な梗塞巣があり, その中に塊状出血巣と点状出血巣の2つの病巣の局在をみとめた. (2) 塊状出血巣はperforating arterial terminal zoneである大脳基底核の細動脈からの出血であり, 点状出血巣はcorticalarterial terminal zoneである皮髄境界の細静脈からの出血であった. (3) CT所見では, 大脳半球のほぼ全体に及ぶ低吸収域を示し, contrast enhancement陰性であった.出血が少量のため脳浮腫にmaskingされて, 高吸収域として検出することができなかったと考えられる.したがって重症脳梗塞では, 梗塞巣の中に塊状出血巣と点状出血巣の異なる病巣の局在を区別して考える必要がある.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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