脳卒中
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脳軟膜動脈の自律神経活動電位に関する研究
頚部交感神経系の関与について
一條 真琴
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1983 年 5 巻 4 号 p. 330-337

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抄録

脳血管に分布する自律神経系の役割を直接的に明らかにする目的で, 脳軟膜動脈壁より活動電位を導出し, それが頚部交感神経系の切断により影響を受けるか否かを検討した.対象および方法 : 成猫20匹を用い, 上頚部交感神経節前線維切断群 (13匹) と上頚部交感神経節切除群 (7匹) について, 脳灌流圧変化に対する脳軟膜動脈活動電位の変化を, 電気生理学的手法により計測した.結果 : (1) 上頚部交感神経節前線維切断実験では, 急性・慢性をとわず, また, 片側・両側切断に関係なく, 切断後も脳灌流圧下降時活動電位増加, 脳灌流圧上昇時減少という正常反応が保たれていた. (2) 上頚部交感神経節切除実験でも急性片側切除群では同様の正常反応が認められた. (3) 上頚部交感神経節切除後3週間経過した慢性実験では, 切除側で正常反応が抑制された.結論 : 脳軟膜動脈活動電位は上頚部交感神経節の影響を受ける.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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