脳卒中
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DIC期間中に発症したcryptic AVMの1治験例
柳田 範隆古和田 正悦坂本 哲也峯浦 一喜
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1984 年 6 巻 4 号 p. 520-524

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抄録

DICに合併した頭蓋内出血の手術例は文献上12例にすぎず, その予後は不良とされている.最近, 子宮内容除去術後のDICに合併したcryptic AVMの1治験例を経験したので報告する.症例は36歳の主婦で, 子宮内容除去術後3日目に大量の性器出血と発熱, 点状皮膚出血があり, DICと診断された.DICの治療後4時間目に突然頭痛を訴え, 傾眠状態となった.CTで左頭頂後頭部の血腫, 椎骨動脈撮影で左頭頂後頭動脈からのearly venous fillingが認められた.DICスコアが12点であり, ヘパリン, 新鮮血などでDICのコントロールに努めた.発症4日目にDICスコアが5点に改善され, 左頭頂後頭開頭で特に異常出血もなく脳内血腫を除去し, AVMを摘出した.組織学的に内弾性板を保持する動脈要素とそれを欠く静脈要素が混在し, それらの血管内に多数の徴小血栓が認められた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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