1985 年 7 巻 1 号 p. 1-8
半球性脳血管障害における脳循環autoregulationの経時的変化を, 自律神経機能の立場から検討した.対象および方法 : 対象は半球性脳血管障害42例と健常コントロール60例である.脳循環autoregulationの指標としてdysautoregulationindex (D.I.) =|ΔCBF/ΔMABP| (%/mmHg) を用いた.脳血流変化 (ΔCBF) は, 脳動静脈血酸素較差法により測定し, 自律神経機能検査はhemodynamic functional testsを用いた.結果 : 1) 脳循環autoregulationの障害は, 発症直後と発症後12日目にピークを有する二相性の変化を示した.2) 発症後10日目以内の急性期において, 脳循環autoregulationの障害は発症後4日目から5日目に一時正常化した.以上の成績は, Aschner試験の成績とより密な相関を示したが, 寒冷昇圧試験の成績とは密接な相関を認めなかった.結語 : 脳循環autoregulationの経時的変化に副交感神経機能の密な関与が示唆された.