脳卒中
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実験的脳虚血における脳血管の5'-Nucleotidase活性の変化
永田 博司中村 重信亀山 正邦天野 殖狭間 章忠
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キーワード: 実験的脳虚血
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1985 年 7 巻 1 号 p. 44-49

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抄録

Wistar系ラットを用いて両側椎骨動脈焼灼後, 両側頚動脈を60分間結紮して, 実験的脳虚血ラットを作製した.虚血脳の5'-nucleotidaseの変化を組織化学的方法およびhomogenateにおける活性測定により検討した.その結果, sham operationでは認められなかった血管周囲の5'-nucleotidaseが, 脳虚血により麻痺をきたしたラットでは認められた.脳組織のhomogenate中の5'-nucleotidase活性はsham operation群 (22.0±4.1nmoles/mg protein/min);麻痺の認められない群 (23.3±3.8nmoles/mg protein/min) に比して, 麻痺の認められた脳虚血群 (29.8±5.2nmoles/mg protein/min) で有意の (p<0.05) 高値を示した.以上の結果より, 虚血時には脳血管周囲の5'-nucleotidase活性が上昇することにより, adenosine合成が増加し, 恐らく, 虚血に対する防禦的な血管拡張作用が起こることが示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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