脳卒中
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虚血性脳血管障害に対する抗凝固剤及び抗血小板剤療法
熊谷 頼佳
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1985 年 7 巻 1 号 p. 9-14

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抄録

抗凝固剤 (ワーファリン) 療法40例と, 抗血小板療法 (アスピリン, 塩酸チクロピジン) を血小板凝集能測定できずに39例, その監視下で35例施行しその安全で有効な投与方法について検討した.抗凝固剤はトロンボテスト10~20%の範囲を目標にした場合, ワーファリンを初日15mg, 2日目12mg, 3日目休薬, 4日目より3mgから維持量を決定するのが最も早く安全に治療域に達する方法で, 平均維持量は4.7mg/日であった.その安全性を確認するため常にトロンボテストによる監視が必要である.抗血小板剤を投与する場合も常に血小板凝集能測定による監視が必要で, その監視下では過剰効果による出血傾向はみられなかった.虚血性脳血管障害群は正常群に比して血小板凝集能充進例が圧倒的に多く, 血小板凝集能抑制の程度は正常人と同程度 (ADP最終濃度3~5μMで2次凝集) か, 軽度抑制状態 (同5~10μMで2次凝集) を目標にした.症例の68.6%で塩酸チクロピジン200mg/日によりこの目標が達成された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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