脳卒中
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脳動静脈奇形に併存した脳動脈瘤症例に対する手術適応と予後についての検討
河野 兼久榊 三郎桑原 寛人松岡 健三郷間 徹
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1985 年 7 巻 4 号 p. 321-329

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抄録

脳動静脈奇形35症例中, 6症例 (17.1%, 男6例, 平均年齢55歳) に計9個の脳動脈瘤の併存を認めた.脳動脈瘤は全て脳動静脈奇形と血行動態上の関連をもつ部位に発生しており, 脳動脈瘤発生におけるhemodynamic stressの重要性を示唆していた.6例中1例のみが痙変発作を主訴とし, 両者への根治手術を行い全快した.他の5例は全て脳動脈瘤破裂による頭蓋内出血にて発症し, その出血部位の診断にはCT scanが有用であった.3例に脳動脈瘤neck clippingのみ (2例は早期手術, 1例は待期手術) 行い, 残る2例に脳室ドレナージを施行し待期したが, 早期手術を施行した2例に一応の成果が得られたのみで, 待期した3例はいずれも2週間以内に脳動脈瘤からの再出血をおこし死亡した.故に両者の合併症例において脳動脈瘤が出血源の場合, 脳動静脈奇形のoperabilityに関係なく, 破裂脳動脈瘤への早期根治手術がより重要と思われる.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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