脳卒中
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虚血性脳浮腫の実験的研究
第1報ラットを用いた血流再開可能な脳梗塞モデル
小泉 仁一吉田 洋二中沢 貞二大根田 玄寿
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1986 年 8 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

血流再開可能なラット脳梗塞モデルを開発し, 虚血巣内の神経組織や血管壁の光顕的変化ならびに血流再開による組織像の修飾, 血流の再開前後における脳含水量の変化を検討した.STD Wistar雄ラットの右総頸動脈より糸つき塞栓を挿入し, 右中大脳動脈入口部を閉塞この塞栓を一定時間留置後, 抜去し血流を再開した.閉塞後, 脳腫脹は経時的に増悪し, 対照群の含水量77.62%に対し, 12時間閉塞後のそれは79.48%となった.閉塞後32時間で全例が死亡した.死亡時における梗塞巣は側頭・頭頂葉, 基底核および視床下核の一部に再現性よく認められた.また, 血流の再開により含水量は永久閉塞群に比し有意に増加し, その程度は閉塞時間の長さに平行した.組織学的には, 血流の再開により梗塞巣の海綿状状態は増強し, 毛細血管からの出血, 梗塞巣への白血球浸潤も加わっていた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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