脳卒中
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いわゆる劇症型致死的脳血管攣縮症例の臨床的検討
野中 信仁松角 康彦山口 俊朗池田 順一三浦 義一
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1986 年 8 巻 1 号 p. 34-42

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抄録

くも膜下出血後発生する脳血管攣縮の中で, 特に急速な経過にて症状増悪を示し死に至るいわゆる “劇症型致死的脳血管攣縮” があり, これらの臨床的背景について検討した.59年12月までの過去3年間のくも膜下出血252症例の中で, 25例 (9.9%) がこれに相当した.男性6/104 (5.8%), 女性19/148 (12.8%).50歳未満2/64 (3.1%), 50歳代13/101 (12.9%), 60歳代8/65 (12.3%), 70歳以上2/22 (9.1%) と, 50歳代, 60歳代の女性に高頻度に出現した.いずれも早期CTにおいて脳底部髄液槽に著明なhigh densityを示した.入院時一般検査では, 白血球増多, 血糖値上昇, 心電図異常を示すものが多く, 動脈硬化指数は高い傾向にあった.脳血管攣縮発症時のCTで, 激しい脳浮腫を伴う一側中大脳動脈領域の脳梗塞あるいは多血管領域にわたる多発性の脳梗塞を示した.破裂脳動脈瘤に対する早期手術, Ca++拮抗剤の予防的投与により, 減少軽減する印象があった.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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