脳卒中
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Willis動脈輪を介する側副血行動態の検討
山口 修平小林 祥泰木谷 光博恒松 徳五郎
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1986 年 8 巻 1 号 p. 64-68

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抄録

micro-pressure system (MPS) を用いて, ネコの総頸動脈 (CCA) 閉塞後のWillis動脈輪を介する血行動態について検討した.100~200μmの脳軟膜動脈圧 (PAP) をMPSで測定しつつ, 一側CCA閉塞, 次いで両側CCA閉塞を行い, 各時点で水素クリアランス法により脳血流を測定した.PAPは72mmHgで全身動脈圧の62.5%であった.そして一側CCA閉塞で前値の86%に, 両側CCA閉塞で63%に低下した.脳血流は両側CCA閉塞により始めて有意に低下した.上記結果より算出された100μm以下の細い動脈の血管抵抗は, 一側CCA閉塞で有意に低下したが, 両側CCA閉塞ではそれ以上の変動は認められなかった.一方, 太い動脈の血管抵抗の変化量は, 一側CCA閉塞後がWillis動脈輪前半部の血管抵抗, 両側CCA閉塞後は椎骨脳底動脈~Willis動脈輪後半部の血管抵抗と考えられ, 後者は前者の約4.5倍であった.本実験モデルはWillis動脈輪および軟膜動脈の薬剤等にする血管反応性の検討に有用であると思われる.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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