脳卒中
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赤血球増加症を合併した高血圧症の臨床的研究
脳血管障害の危険因子としての意義
村井 淳志宮原 忠夫佐古 伊康松田 実亀山 正邦
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1986 年 8 巻 3 号 p. 177-181

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抄録

脳梗塞の成因解明のために, ヘマトクリット (Ht) 値が45%以上の高血圧患者の臨床的特徴を調べた.1,768名の外来患者のうち, この診断基準に合致する者は26名で, すべて中年以上の男性で, 赤ら顔の軽度肥満者が多かった.Htは平均48.9%, 白血球数と血小板数は正常範囲内にあった.1例に中等度の, 4例に軽度の脾腫大を認めた. 中等度の脾腫大の1例を除くと, 真性赤血球増加症の可能性はないと考えられた.血清総コレステロール値, トリグリセライド値, 尿酸値は高く, HDLコレステロール値は低かった.血漿レニン活性は正常であった.26例のうち16例もの多数に脳血管障害が認められた.従ってHt値が45%以上と比較的軽症の赤血球増加症を含めても, 高血圧を合併すると脳血管障害を発症しやすいと考えられる.それとともに高脂血症, 低HDL血症, 高尿酸血症など脳血管障害の危険因子を合併することが多い点にも注意する必要がある.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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