脳卒中
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高齢者破裂脳動脈瘤患者の検討
矢野 隆〓川 哲二上家 和子小笠原 英敬
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1986 年 8 巻 3 号 p. 231-236

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抄録

242例の破裂脳動脈瘤患者を70歳以上 (A), 65~69歳 (B), 60~64歳 (C), 59歳以下 (D) の4群に分け, 特に70歳以上の高齢者破裂脳動脈瘤患者を中心に検討した.A群の特徴を知る目的で, 入院時clinical grade, computed tomography (CT) 所見, 破裂部位, 合併症, 手術時期, 非手術例のその理由と予後, を各群間で対比した.その結果, (1) A群では入院時重症例 (Hunt & Kosnikのgrade IV, V : 57%) が多く, 合併症も高率であった.CT上のクモ膜下出血 (subarachnoid hemorrhage, SAH) gradeは年齢による差は認めなかったが, A群で水頭症の合併が26%と高かった. (2) 破裂部位では, A群に内頚動脈領域が35%と多かった. (3) day2までの早期手術群ではA群に予後不良例が多かったが, day3以降の手術群では年齢による差は認めなかった. (4) 非手術の理由として, A群の高齢19%, D群の再破裂24%が他群に比し多かった.以上より, 高齢者の手術適応を考慮する場合などにも, より慎重な考慮が必要であると思われた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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