脳卒中後の情動異常をハミルトンうつ病尺度を使って検討した.対象は, 右ききで, 一側大脳半球に病変をもつ脳卒中患者 (右18例, 左14例) とし, 評価時期は, 発症後3ヵ月とした.結果では, 右半球障害が, 左半球障害例に比して, 推計学的に高いうつ傾向が見られた.また, 病巣が左右の半球を境界する中心線に近づくほど, うつ状態は高くなる傾向が見られた.また, 病巣の体積や前後径方向の分布と, うつ状態の程度との間には, 大きな相関は見られなかった.脳卒中後の情動異常の発現を左右する因子としては病巣の大脳半球における配置とともに, 左右半球の統合不全が示唆された.