脳卒中
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頭蓋内・外脳血管狭窄性病変の出現部位とその頻度
虚血性脳血管障害94例の4-vessel studyからの検討
上田 伸関貫 聖二大林 正明樫原 道治松本 圭蔵
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1986 年 8 巻 4 号 p. 294-300

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抄録

TIA以上の虚血性脳血管障害群で, 発症後2ヵ月以内に4-vessel studyがなされている100例について, 脳血管の狭窄ないし閉塞性病変の出現頻度とその部位について検討した.10%以上の狭窄性病変は100例中80例, 236個みられ, 頭蓋外 : 頭蓋内の出現比率は150 : 86であった.頭蓋外病変の方が多く, 特に頚部内頚動脈に高頻度であった.50%以上の中等度ないし高度狭窄および完全閉塞は72個所にみられ, 頭蓋外 : 頭蓋内の比率は32 : 40, 頭蓋内脳血管に多かった.特に頚部内頚動脈と中大脳動脈M1部に同程度に多くみられたが, 臨床症状に対する責任病巣としての役割は中大脳動脈M1部の病変が重要であった.頭蓋外・内脳血管の狭窄性ないし閉塞性病変の出現度を1967年のKieffer, Takeyaの論文と比較すると, 今回のデータは, 当時のミネソタと九州の中間的出現比率を示し, 本邦でも頭蓋外病変の出現度が増加してきつつあることが示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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