脳卒中
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脳血流自動調節能に及ぼす血糖値の影響についての実験的検討
藤井 健一郎佐渡島 省三井林 雪郎吉田 富士雄藤島 正敏
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1986 年 8 巻 5 号 p. 363-369

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抄録

高血圧自然発症ラット (SHR) を用い, 血糖値の脳血流自動調節能に及ぼす影響を検討した.正常血糖 (血糖133mg/dl), インスリン低血糖 (40mg/dl), 急性高血糖 (465mg/dl), ストレプトゾトシン糖尿病 (337mg/dl) ラットを作製し, 大脳皮質, 視床, 小脳皮質の血流を水素クリアランス法で測定した.
大脳皮質血流量は正常血糖, 低血糖, 高血糖, 糖尿病で各々49±4 (SEM) ml/100g/min, 97±17, 50±4, 62±9と低血糖群で有意に高く, 小脳や視床でも同様の傾向を示した.脱血により血圧を下げた時の脳血流の変化は, 高血糖や糖尿病群では正常血糖群とほとんど差はみられなかったが, 低血糖群では脳血流はより大きく減少し自動調節は消失した.各血糖群内の血管反応性に部位差は認められなかった.
以上より中等度の低血糖でも血圧下降時の自動調節能が障害されることが示され, その原因の一つとして, 低血糖による脳血管拡張が考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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