脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
実験的脳虚血および血行再開時の局所脳血流と脳波
楠田 憲治佐渡島 省三藤井 健一郎井林 雪郎藤島 正敏
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 8 巻 5 号 p. 370-378

詳細
抄録

高血圧自然発症ラット16匹を用い, 両側総頚動脈閉塞により脳虚血を作製し, 大脳皮質および視床での脳血流と脳波との関係を検討した.虚血30分の大脳皮質血流量は平均42ml/100g/minから5mlへ, 視床血流量は43mlから22mlに減少した.皮質血流量は13匹で13ml/100g/min以下に減少したが, そのうち12匹で脳波の消失がみられた.一方, 視床脳波は虚血中5匹で消失したが, そのうち4匹では視床血流量は20ml/100g/min以上に保たれていた.虚血中に皮質あるいは視床で脳波が消失したものでは, 非消失例に比べ, 血行再開直後の血流増加はより顕著であったが, 脳波の改善はむしろ不十分であった.組織学的検索では大脳皮質および海馬では間質および神経細胞に軽度の虚血性変化がみられたが, 視床には明らかな変化は認められなかった.全脳虚血では大脳皮質と視床では脳波異常の出現する血流閾値に差があることが示唆される.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top