脳卒中
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慢性期脳血管障害例におけるCBF-PaCO2関係曲線に関する検討
高血圧持続に伴う脳血管反応性の変化
金子 尚二
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1987 年 9 巻 1 号 p. 28-36

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抄録

慢性期脳血管障害例で脳血管写上, 中大脳動脈閉塞 (M群) 14例と非閉塞 (N群) の31例の全45例において脳血管CO2反応性 (CO2反応性) と高血圧に伴う臓器障害程度の関係を検討した.安静時脳血流量 (CBF) はArgon法で測定し, かつ, 3分間の過換気, 3%, 5%および7%CO2吸入によるCBF変化率を脳動静脈酸素含量較差より求めた.CO2反応性はCBFPaCO2関係曲線, すなわちIn CBF=K×PaCO2+AにおけるK値をもって算出した.高血圧に伴う臓器障害程度は池田らの重症度分類に従った.
1) N群では, K値と高血圧重症度との間に極めて有意な負の相関関係を認めたが (r=-0.86, p<0.001), M群では明らかではなかった.
2) N群では, K値と脳血管抵抗との間に有意な負の相関関係が認められた (r=-0.46, P<0.01).
以上より, N群におけるCO2反応性の低下は, 高血圧持続にもとずく細動脈硬化を反映していると考えられる.しかし, M群におけるCO2反応性には, 更に副血行の良否, 血管床あるいはvascular toneの変化等の病態生理学的諸因子により修飾されている可能性がある.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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