脳卒中
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Transcranial Dopplerによる脳血管レン縮の診断
金子 隆昭森竹 浩三米川 泰弘長沢 史朗半田 肇
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1987 年 9 巻 3 号 p. 254-259

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抄録

脳動脈流破裂によるクモ膜下出血後の脳血管レン縮は患者の予後を左右する最も重要な因子とされているが, これまでその診断に有効な手段を欠いていた.transcranial Dopplerを用いて5例の破裂脳動脈瘤のneck clipPing後, 中大脳動脈の血流速度とパターンを経時的に観察し, 次の2例において脳血管レン縮によると思われる中大脳動脈の血流速度の増大ならびにソナグラム上 “stenotic flow pattern” の出現を認めた.症例1 : 76歳女性で発作後2週目頃より左片麻痺が出現右中大脳動脈の血流速度は軽度上昇し, “stenotic flow pattern” の出現を見た.症例2 : 51歳女性発作後6日目頃より不穏状態, 記銘力の低下が出現.右中大脳動脈の血流速度の増大, “stenotic flow pattern” の出現を確認した.transcranial Dopplerは脳血管レン縮の診断法として有用と思われた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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