脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
高血圧自然発症ラット (SHR) を使用した実験的脳虚血急性期における降圧治療の影響
片山 泰朗杉本 繁鈴木 悟清水 純赫 彰郎
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 9 巻 4 号 p. 291-297

詳細
抄録

高血圧自然発症ラット (SHR) を使用して両側総頚動脈結紮法 (BLCL) により脳虚血を作成し, SHRに存在する高血圧の降圧治療を行い, その影響につき, 脳循環代謝・脳浮腫を検討した.降圧治療はレセルピンの腹腔内投与により行った.後頭部深部での脳循環は降圧後の降下血圧と正の相関を示した.脳代謝では前頭部においてはATP, lactate, c-AMPとも降圧治療群および非治療群との間に差異を認めなかった.後頭部においては, 降圧群ではATPは低値を, lactateは高値を示した.c-AMPは差異を示さなかった.ATP, lactate値は降圧後の血圧値とそれぞれ正および負の相関を示した.脳含水量は前頭部, 後頭部ともに降圧群で有意の高値を示し, 降圧後の血圧値と負の相関を示した.降圧治療は虚血の強い前頭部では脳浮腫を増強させ, 虚血程度の比較的軽度な後頭部では, 降圧後の血圧値に一致して脳循環代謝障害および脳浮腫を増悪させた.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top