脳卒中
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血栓性内頚動脈閉塞症の予後に及ぼす急性期ヘマトクリットの影響
紀田 康雄澤田 徹成冨 博章栗山 良紘山口 武典
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1987 年 9 巻 4 号 p. 311-316

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抄録

血栓性内頚動脈閉塞症で急性期に入院した67例を, 副血行路がウイルス輪を介する順行性副血行路群 : A群31例と, 外頚動脈枝や皮質枝吻合を介する逆行性副血行路群 : R群36例に分け, 入院時のヘマトクリット (Ht) が梗塞サイズや予後に及ぼす影響について検討した.A群ではHtと梗塞サイズ, 予後の間にはr=0.19で相関はなかった.一方R群ではHtと梗塞サイズの間にはr=0.41で有意な正の相関を認めた (p<0.05).また退院時のADLと入院時Htの関係を見るとA群では両者の間に関係はなかったが, R群ではHtが高い者では予後不良例の頻度が高かった.以上の結果は, 内頚動脈閉塞症の中でも副血行路が細動脈吻合を介する逆行性副血行路の場合は, ウイルス輪を介する順行性副血行路に比べその転機が急性期の血液粘度に, より影響を受け易い事を示している.副血行路の違いにより, この様な差が生じた背景には逆行性副血行路では血流が抵抗血管を一度余分に通過するため順行性副血行路に比べ末梢での流速低下が大きい事, また血流の走行距離も逆行性副血行路では迂遠である事などが挙げられる.この結果逆行性副血行路では, 末梢血管内のshear rateの低下が大きくなり血液粘度の影響をより強く受けたものと考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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