脳卒中
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Wallenberg症候群を合併したpersistent primitive trigeminal arteryの1例
国塩 勝三山本 良裕角南 典生山本 祐司浅利 正二
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1987 年 9 巻 5 号 p. 403-407

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抄録

Wallenberg症候群で発症し脳血管写上, 両側椎骨動脈 (VA) はhypoplasiaで左側の後下小脳動脈 (PICA) 閉塞さらにpersistent primitive trigeminal artery (PTA) を確認した45歳男性例を報告する.PTAに脳底後大脳動脈系の閉塞性血管障害を合併した場合の発生機序に関し, 内頚-外頚動脈分岐部のatherosclerotic plaqueから生じたmicroemboliがPTAを介し内頚動脈 (IC) から脳底動脈 (BA) へ流れ脳幹部の虚血症状を起こすと考えられている.一方, 本例では脳血管写にてIC領域にatherosclerotic plaqueの所見はみられず, 左PICAは造影されていない.また, PTAとBAとの吻合部より近位側にあるVAから分岐するPICAへIC系からのmicroemboliが流れるとは考えにくい.以上より本例はPTAが存在するためにhypoplasiaとなったVAから分岐するPICAの血栓性閉塞により発症したWallenberg症候群と考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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