脳卒中
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高血圧自然発症ラットにおける脳虚血
片側総頚動脈閉塞と低血圧の影響
中富 康夫佐渡島 省三石束 隆男玉城 欣也藤島 正敏
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1987 年 9 巻 5 号 p. 415-420

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抄録

自然発症高血圧ラット (SHR) の平均血圧を脱血により50mmHg以下 (前値の30%以下) に急速に低下させて15~60分間維持すると, 大脳皮質血流量 (水素クリアランス法) は49ml/100g/minから4ml/100g/min前後まで減少するが, 7日後に行った脳組織の光顕的検索では虚血性病変など特別な異常は認められなかった.一方, 一側頚動脈を閉塞後, 平均血圧を脱血前の30%以下に低下させ60分間維持すると, 閉塞側の大脳皮質血流量は26ml/100g/minから2ml/100g/min前後に減少し, 同側大脳半球に明らかな浮腫を伴った虚血性病変 (梗塞巣) が惹起された.高血圧患者に降圧治療する際, 特に脳血管に閉塞性病変があると, 同側により強い血流低下ひいては虚血性病変が形成されることが示唆され, 目標とする血圧レベルの検討が必要と思われる.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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