経口避妊薬によると思われる上矢状静脈洞血栓症において, 血栓形成過程における血小板機能の関与が示唆された1例を報告する.症例は39歳, 女性.2度目の人工妊娠中絶後, 経口避妊薬を5ヵ月間継続した.突然の頭痛と意識消失を来たし, けいれん重積状態となり入院, CTにて右前頭葉に小出血巣, IV-DSAにて上矢状静脈洞前半部2/3での閉塞の所見をみとめた.グリセオールを用いて脳圧亢進症状をコントロールし, 2ヵ月後, 神経学的異常なく退院した.血小板凝集能検査にて, 発症9日目, 21日目の急性期には血小板凝集能の低下が認められ, 発作4ヵ月後には正常に復していた.凝固・線溶系や血清脂質に異常は認められず, 血栓形成過程において血小板機能が重要な役割をはたしていることが示唆され, 興味深い症例と考えられる.