ウイルス
Online ISSN : 1884-3433
Print ISSN : 0042-6857
特集1:ウイルス侵入と受容体
エンテロウイルス71受容体としてのP-selectin glycoprotein ligand-1の同定
西村 順裕清水 博之
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 59 巻 2 号 p. 195-204

詳細
抄録

 エンテロウイルス71(EV71)は,一般的な小児の発熱性疾患である手足口病の主要な原因ウイルスである.手足口病の症状は一般に軽く予後も良好であるが,EV71は時として重篤な中枢神経疾患の大規模な流行を引き起こす.我々は,ヒトT細胞cDNAライブラリーを用いてEV71結合分子の発現クローニングを行い,EV71がP-selectin glycoprotein ligand-1(PSGL-1; CD162)に結合することを見いだした.PSGL-1は,おもに白血球表面に発現するシアロムチンファミリー蛋白質で,セレクチンやケモカインとの結合により初期炎症反応で重要な機能を果す.EV71はヒトPSGL-1のアミノ末端領域に結合し,ヒトPSGL-1発現マウス細胞がEV71感受性を獲得したことから,EV71の機能的受容体であることが示された.EV71分離株にはPSGL-1結合株・非結合株が存在し,非白血球系細胞ではEV71はPSGL-1非依存的に感染増殖することが明らかとなった.PSGL-1依存的EV71感染機構の解析は,手足口病や中枢神経疾患等,EV71感染症の病原性発現の分子的基盤の解明に役立つことが期待される.

著者関連情報
© 2009 日本ウイルス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top