2015 年 65 巻 2 号 p. 245-254
抗C型肝炎ウイルス(HCV)戦略として,近年,ウイルス因子を標的とした薬剤(Direct-acting antiviral agents; DAA剤)による治療法が大きな成功を収めつつある.しかし,耐性ウイルス等の問題も考えられ,宿主因子を含めた新たな標的に対する薬剤開発も推進すべきと思われる.宿主肝細胞内へのHCVの侵入には,CD81,SRBI,Claudin-1,Occludin等の宿主分子が関与することがわかってきている.本稿では,これまで我々が取り組んできたClaudin-1を標的とした抗HCV戦略について紹介したい.また,HCV侵入過程に関わる宿主因子を標的とした薬剤開発研究についても概括する.宿主侵入因子を標的とする抗HCV戦略は,特に,移植時の感染阻止やDAA剤との併用において有用であると考えられる.