ウイルス
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総説
胎盤と内在性レトロウイルス
今川 和彦中川 草草間 和哉
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66 巻 (2016) 1 号 p. 1-10

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抄録

  生命の進化上,哺乳類の胎盤は比較的新規に獲得された器官である.本稿では,哺乳類が獲得した胎盤の形態や構成細胞に多くの違いがあることやその違いが今まで考えられていた哺乳動物種の一連の進化と異なることを示した.そして,生体や他の器官や細胞群とは異なり,胎盤を構成する胚トロホブラスト細胞では,内在性レトロウイルスやLTR型レトロトランスポゾンに由来する遺伝子の高い発現が見られる.特に,Peg10,Peg11,さらに胚トロホブラストの融合や胎盤の形態の違いに寄与したenv遺伝子に由来するSyncytinについて紹介する.最後に,同一種において同様の機能を発揮するレトロウイルスの内在化が複数回起こっていること,新しく内在化したレトロウイルスが転写因子など以前に使用されていた発現制御機構を取り入れている事実から,既存の遺伝子から新規の内在性レトロウイルスに由来する遺伝子への機能の譲渡(バトンパス)が起こっていることを紹介したい.

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© 2016 日本ウイルス学会
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