ウイルス
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A型インフルエンザウイルスに対する塩酸アマンタジン使用の問題点
辻 克郎岩橋 潤今村 宜寛吉本 静志梶原 淳睦石橋 哲也森 良一山田 達夫豊田 哲也
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2001 年 51 巻 2 号 p. 135-141

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抄録

A型インフルエンザウイルスは高齢者においてはしばしば肺炎を併発し, 致死率も高い. わが国ではその対策として, ワクチンの他にアマンタジンが注目されるようになった. わが国ではアマンタジンはこれまで脳梗塞後遺症による抑うつ及びパーキンソン病 (症候群) の治療として, 広く用いられている. そこで, アマンタジンのインフルエンザウイルス感染予防効果と耐性ウイルスの発生について1999年1月から2000年3月まで高齢者を対象に調査を行った. その結果から, アマンタジンのA型インフルエンザウイルス感染に対する予防効果は認められるが, 既に耐性ウイルスが市井に存在することが示唆された. これは, 発症48時間以降に投与した場合に高頻度で耐性ウイルスを発生し, もともと予防的投与の方が効果的なアマンタジンを治療的投与として用いることの「無理」があるためと考えられ, 耐性ウイルス発生に対する監視が必要であると思われる.

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