2006 年 15 巻 3 号 p. 367-372
Externally supported knitted Dacron graft (EXS) による大腿-膝上膝窩動脈 (AKFP) バイパス206本の術後5年までの成績とグラフト閉塞の危険因子について検討し, さらにexpanded polytetrafluoroethylene (ePTFE) との前向き試験の結果も併せて報告する. 1982年から2003年までに閉塞性動脈硬化症に対し, 184例206肢にEXSを用いてAKFPバイパスを施行した. 早期閉塞は2例で, いずれもrevision手術で二次開存をえた. 術死はなかった. グラフト一次/二次累積開存率は2, 5年でそれぞれ82/88%, 74/79%であり, グラフト一次閉塞の有意危険因子は手術適応 (救肢手術) と虚血性心疾患の既往であった. 5年救肢率は94%, 生存率は2, 5年でそれぞれ88, 63%であった. 前向き試験 (非ランダム化) には両群33本ずつが登録され, 3年一次開存率はEXS79%, ePTFE73%であり有意差はなかった. EXSによるAKFPバイパスの成績は満足できるものであったが, 手術操作の煩雑性等を考慮すると, ePTFEに対する優位性はあるとはいえない.