日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
医原性膝窩動脈瘤に対する外科治療の1例
今井 崇裕深田 靖久松居 喜郎安田 慶秀
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ジャーナル オープンアクセス

2006 年 15 巻 3 号 p. 383-385

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抄録

整形外科手術後の医原性膝窩動脈瘤に対する外科治療を経験したので報告する. 症例は59歳女性. 他医で左人工膝関節置換術施行時, 膝窩動脈を損傷し圧迫にて止血したが, 術後コンパートメント症候群を併発し, 術翌日に減張切開術を施行した. 以後創部の治癒も悪く, 術後26日目同部に植皮術を施行したが, 腓骨神経麻痺は残存した. 術後4カ月目で左膝窩部に硬い拍動性の有痛性腫瘤を触れ, 当科紹介受診となった. 当院入院後, 準緊急的に動脈瘤切除術を施行した. 動脈瘤は短径約5cm, 長径約10cmの仮性瘤であった. 膝窩動静脈は圧排閉塞され, 側副血行路が発達していたが, 安全のため患側の小伏在静脈による血行再建術を施行した. 以後経過良好で, 術後13日目にリハビリテーション目的で転院となった. 膝窩部は周囲に圧迫組織がないため巨大化しやすく, 重篤な症状を呈することがあり, とくに外傷性の場合は早期の対処が重要である.

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