日本血管外科学会雑誌
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症例
急性動脈閉塞症状で発見された胸郭出口症候群の1例
笹田 伸介鬼塚 誠二安森 弘太郎伊東 啓行
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2006 年 15 巻 3 号 p. 409-412

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抄録

上肢の急性動脈閉塞症状で発見された胸郭出口症候群の1例を経験したので報告する. 症例は45歳, 男性. 2年ほど前から右手指のRaynaud様症状を繰り返していたが, 突然, 右上肢の安静時痛と手指の運動障害が出現した. 動脈造影で右鎖骨下動脈の閉塞と上腕動脈, 尺骨動脈の閉塞を認めた. 胸郭出口症候群による動脈血栓症, 末梢動脈血栓塞栓症と診断し, 左腋窩動脈-右腋窩動脈交叉バイパス術, 前腕末梢動脈血栓摘除術を施行した. 術後CTにて第一肋骨の肥大と第二肋骨との癒合という骨形成異常がみられ, これが胸郭出口症候群の原因と考えられた. 胸郭出口症候群による上肢虚血症状を呈する症例は多くはないが, 上肢急性動脈閉塞症例には急激に悪化し大切断となる症例もあるため, 迅速な診断と治療が必要である.

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