日本血管外科学会雑誌
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症例
上肢虚血症状を呈したバレーボール選手の1例 : 外傷性後上腕骨回旋動脈血栓閉塞からの末梢塞栓症
池澤 輝男松下 昌裕新美 清章
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ジャーナル オープンアクセス

2006 年 15 巻 4 号 p. 445-448

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抄録

後上腕骨回旋動脈 (PCHA) の慢性外傷による血栓閉塞を塞栓源とする末梢塞栓症の結果, 上肢虚血症状を呈したバレーボール選手の1例を経験した. 症例は28歳男性で, 右手虚血症状で発症した. 右手指先脈波検査において波形は全指で平坦であった. また, 右上肢の血管撮影ではPCHA根部の血栓閉塞と, 側副血行より造影されるPCHAの末梢分枝が認められた. 右上肢の強い投球様運動 (スパイク) が繰り返されたことによるPCHAの慢性外傷性血栓閉塞と, これを塞栓源とする末梢塞栓症と診断した. 再発防止の観点から後上腕骨回旋動脈の根部結紮術を行った. 上肢の虚血を訴えるスポーツ選手には, 中枢側上肢動脈の損傷を疑って早期に血管撮影を行うことにより診断を確定し, 虚血が進行しないように適切な治療を行うべきである.

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