日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
深部静脈弁形成術および下肢動脈バイパス術を同時施行した1症例
本田 賢太朗駒井 宏好重里 政信
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2006 年 15 巻 5 号 p. 499-502

詳細
抄録

下肢静脈瘤および閉塞性動脈硬化症は共に末梢動静脈領域において比較的頻度の多い疾患である. 今回われわれは深部静脈弁機能不全と閉塞性動脈硬化症を合併した症例に一期的に手術を行い良好な結果を得たので報告する. 症例は85歳, 女性. 10年前から左下腿静脈瘤と色素沈着を指摘されており, 左下肢倦怠感が増強したため当科を受診した. 左下腿に静脈瘤と色素沈着, 冷感を認め, 大腿部以下で末梢拍動の減弱を認めた. 逆行性深部静脈造影では深部静脈にKistner IV度の逆流を認めた. Ankle brachial pressure indexは右が1.05, 左は0.65と左下肢で低下を認め, 動脈造影で左総腸骨動脈から外腸骨動脈までの閉塞を認めた. 下肢症状に対する両疾患の関与が示唆されたため2004年4月6日硬性内視鏡下左深部静脈弁形成術, 伏在静脈不全交通枝結紮術および右外腸骨動脈-左総大腿動脈交叉バイパス術を行った. 術後15カ月の現在, 弁形成術, バイパス術共に問題なく, 外来通院している.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top