日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
下甲状腺動脈瘤の1治験例
星野 正道大木 聡高橋 徹森下 靖雄
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2006 年 15 巻 5 号 p. 517-519

詳細
抄録

頸部動脈瘤の中でも下甲状腺動脈瘤は稀である. 症例は52歳, 男性で, 左頸部の腫脹と左肩の運動麻痺を主訴に来院した. CTで左頸部に6.5×4.5cm大の拍動性腫瘤があり, 3D-CTで下甲状腺動脈瘤と診断した. 手術は動脈瘤の流入・流出血管を剥離・結紮後瘤を切開し, 内部の壁在血栓を除去, 瘤の余剰部分を切除, 縫縮術を行った. 組織学的には弾性板の不明瞭な血管壁で, 壁内に膠原線維の増生と硝子化があり, 動脈硬化性の真性瘤と診断した. 術前の三角筋の筋力低下も改善し, CT上も残存瘤はなく順調に経過した. 頸部の拍動性腫瘤の鑑別において, 下甲状腺動脈瘤は頻度は少ないが考慮すべき疾患の一つである.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top