日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
大動脈-下大静脈瘻を合併した炎症性腹部大動脈瘤破裂の1例
伊達 康一郎井元 清隆鈴木 伸一内田 敬二郷田 素彦初音 俊樹
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ジャーナル オープンアクセス

2006 年 15 巻 7 号 p. 611-614

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抄録

炎症性腹部大動脈瘤に大動脈-下大静脈瘻を合併した1例を経験した. 症例は79歳, 男性. 腰痛, 腹痛, 食欲低下で発症し, 4日後に胸部不快感も出現した. 前医を受診し, 心電図異常, 腎不全, 腹部拍動性腫瘤を指摘され, 当院へ搬送された. 腹部大動脈瘤破裂による大動脈-下大静脈瘻と診断し, 手術を施行したところ, 術中所見から炎症性腹部大動脈瘤と診断した. 回収血返血回路を用いることで循環動態を保ちつつ良好な視野のもと瘻孔を確実に閉鎖でき, 術後速やかに症状は改善し軽快退院した. 炎症性腹部大動脈瘤に大動脈-下大静脈瘻を合併した症例は稀であり, 若干の文献的考察を加え報告する.

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