2007 年 16 巻 3 号 p. 593-596
症例は72歳男性.腎結石の精査のため施行された腹部CTにて腹部大動脈に径52mmの紡錘状動脈瘤を指摘され,手術目的にて当院に紹介された.当院にてCTを再検したところ,腹部大動脈瘤に加え,右大腿深動脈に径25mmの紡錘状動脈瘤を指摘された.平成18年 5 月中旬に,腹部大動脈瘤および右大腿深動脈瘤に対する人工血管置換術を同時施行した.術後経過良好にて術後12日目に独歩退院した.大腿深動脈瘤は解剖学的関係より瘤径がかなり大きくなってから発見されるか,破裂により発見される例がほとんどであり,本症例のように無症状の段階でCTにて偶然発見される症例は珍しく,文献的考察を加え報告した.