日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
腹部大動脈瘤を伴った非特異性浅大腿動脈瘤の 1 例
井上 天宏蜂谷 貴
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ジャーナル オープンアクセス

2007 年 16 巻 5 号 p. 675-677

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抄録

閉塞性病変を起こしやすい浅大腿動脈において, 一般に動脈硬化が原因とされる非特異的浅大腿動脈瘤は比較的稀な疾患である. われわれは腹部大動脈瘤を伴った非特異性浅大腿動脈瘤の 1 例を経験したので報告する. 症例は71歳男性, 左大腿部の拍動性腫瘤を主訴に来院, 造影CT検査にて径53mmの腎動脈下腹部大動脈瘤と, 左大腿中央部に径40mmの浅大腿動脈瘤を認めた. 切除した瘤の病理所見では, 高度の粥腫性変化が認められ, 動脈硬化が原因である非特異性動脈瘤であることが判明した. 浅大腿動脈は大腿深部に存在するため, 瘤の触知が困難となり, 破裂が初発症状となることも少なくない. 末梢動脈瘤としての頻度は少ないが, 浅大腿動脈瘤に対する十分な認識と診断後早期の外科的治療が重要であると考えられた.

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