日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
ステントグラフト内挿術が奏功した炎症性腹部大動脈瘤の 1 例
犬塚 和徳海野 直樹山本 尚人相良 大輔鈴木 実西山 元啓
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2007 年 16 巻 5 号 p. 679-683

詳細
抄録

症例は73歳, 男性. 突然の腹痛を主訴に当院を受診した. 腹部CTにて腹部大動脈瘤を認め, 瘤壁は前側壁を中心に肥厚していた. 炎症性腹部大動脈瘤と診断し, 切迫破裂を疑い, 緊急で全身麻酔下にステントグラフト内挿術を施行した. 術後経過は良好で第 9 病日に退院した. 術後18カ月目の腹部CTで瘤径と瘤壁の肥厚はともに縮小していた. 炎症性腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術では動脈周囲の剥離操作を必要としないため, 術中の出血や周囲臓器の損傷などの問題を回避できる. また, 動脈瘤の縮小のみならず, 周囲の線維性肥厚に対する縮小効果も期待し得る治療法である.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top