2009 年 18 巻 4 号 p. 495-498
人工膝関節置換術(TKA)は比較的安全な手術であるが,まれに血管系の合併症を生じることがある.症例は62歳男性.右変形性膝関節症に対して他院整形外科にてTKAを施行された.術後 5 日目に下腿の腫脹,緊満,冷感の出現を認め,術後 9 日目に行ったエコー検査にて膝窩動脈瘤を認め,当院転院となった.血管造影にて膝窩動脈に仮性動脈瘤および血液漏出像を認め,同日緊急手術を施行した.後方アプローチにて瘤内の血栓除去と動脈瘤への交通孔閉鎖を行った.術後より下肢の冷感は消失し,足背動脈の拍動は良好となった.動脈瘤術後 3 日目にリハビリのため前医に転院となった.TKAの術後,早期に仮性動脈瘤を生じ,破裂により発症した 1 例を経験したので報告する.