日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
吻合部仮性動脈瘤に対するステントグラフト内挿術の経験
池田 理出田 一郎國友 隆二宇都宮 大輔浦田 譲治平山 統一川筋 道雄山下 康行
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2009 年 18 巻 5 号 p. 573-579

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抄録

【背景】人工血管置換術後の吻合部仮性動脈瘤は破裂や周囲臓器への侵食などの経過を辿るため,適切な治療が必要である.今回,10病変の吻合部仮性動脈瘤に対するステントグラフト(SG)内挿術を経験したので報告する.【方法】対象は 8 症例で10病変の吻合部仮性動脈瘤に対してSG内挿術を行った.吻合部仮性動脈瘤の局在は,下行大動脈 4 病変,腹部大動脈 2 病変,総腸骨動脈 4 病変である.また,人工血管置換術から吻合部仮性動脈瘤治療までの平均期間は10年であった.術後CTで経過観察した.【結果】吻合部仮性動脈瘤に対してSG内挿術を行った10病変中 9 病変は予定の位置にSGを留置でき,合併症なく手技は成功した.症例 3 はSGを内挿したシースが,総腸骨動脈を通過する際,広範な動脈解離が生じたため手技を中止した.吻合部仮性動脈瘤が十二指腸に穿破した症例 4 はSG内挿後 1 カ月で,感染兆候が著明化し,外科手術を行った.経過観察できた 8 病変の平均観察期間は35カ月であるが,動脈瘤は血栓化し,エンドリークなども出現していない.【結論】人工血管術後吻合部仮性動脈瘤は,術後長期間の経過観察が必要であり,その治療法としてSG内挿術は低侵襲で,有用な方法であると考えられる.

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