日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
高度真腔狭小化による腸管虚血,腎機能障害および両側下肢虚血を認めた急性大動脈解離Stanford B型に対し,axillo-bifemoral bypassで救肢・救命し得た1例
梅田 有史梅澤 久輝五島 雅和服部 努中村 哲哉前田 英明
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2010 年 19 巻 1 号 p. 39-42

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抄録

症例は76歳,男性.突然,前胸部痛が出現し,紹介医受診となる.造影CT上,急性大動脈解離Stanford B型(以下S-B型解離)疑いで同日精査加療のため当院搬送となる.紹介医CT上,S-B型解離の診断下に疼痛,血圧コントロールによる保存的治療を開始した.しかし,入院翌日に下肢の安静時疼痛が出現し,ankle-brachial pressure index(ABPI)低下を認めた.腹部レントゲン上,小腸ガスの出現,腎機能障害も認め,再度施行した造影CTで真腔は著しく狭小化を認め,真腔から還流されていた腹部内臓動脈および下肢への血流低下と考えた.緊急でaxillo-bifemoral bypassを施行したところ,術後臓器虚血,下肢虚血は改善し,第38病日に転院となった.

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