2010 年 19 巻 1 号 p. 39-42
症例は76歳,男性.突然,前胸部痛が出現し,紹介医受診となる.造影CT上,急性大動脈解離Stanford B型(以下S-B型解離)疑いで同日精査加療のため当院搬送となる.紹介医CT上,S-B型解離の診断下に疼痛,血圧コントロールによる保存的治療を開始した.しかし,入院翌日に下肢の安静時疼痛が出現し,ankle-brachial pressure index(ABPI)低下を認めた.腹部レントゲン上,小腸ガスの出現,腎機能障害も認め,再度施行した造影CTで真腔は著しく狭小化を認め,真腔から還流されていた腹部内臓動脈および下肢への血流低下と考えた.緊急でaxillo-bifemoral bypassを施行したところ,術後臓器虚血,下肢虚血は改善し,第38病日に転院となった.