2010 年 19 巻 4 号 p. 569-572
症例は68歳女性.数年前から続く右下肢痛が増強し当院受診.明らかな下肢の外傷,血管内治療等の既往はなかった.下肢エコーおよび造影CT上,内部に壁在血栓を伴う50×32 mmの紡錘状腓骨動脈瘤を認めた.瘤のサイズが巨大で血管内治療は困難であり,また瘤による周囲組織の圧迫が痛みの原因であるため外科治療を選択した.手術は腹臥位で後方到達法にて瘤を露出,末梢側は閉塞しており,瘤縫縮術を施行した.術後は下肢の虚血,歩行障害等の合併症なく経過した.腓骨動脈瘤は極めて稀であり,後方到達法による外科治療は有用である.