2010 年 19 巻 7 号 p. 737-741
症例は67歳女性.65歳時に間欠性跛行が出現し,閉塞性動脈硬化症の診断にて右浅大腿動脈に,66歳時には左浅大腿動脈にSelf-expanding stent(SE stent)留置による血管内治療を受けている.血管内治療の6カ月後,左間欠性跛行の再発,しびれ,冷感を認めたため下肢血管造影を施行したところ,左浅大腿動脈に留置したSE stent内に血栓閉塞がみられた.血栓吸引,血栓溶解療法を開始するも効果を認めず,ABIも0.73から測定不可へと低下したため,救肢目的でFogartyカテーテル血栓除去術を施行した.術中SE stent内から多量の血栓を除去することができ,術後のABIは0.78へと改善し,臨床症状も軽快した.本症例では,SE stentの特性(高い弾力性,外力による変形が起こらない)がカテーテルバルーン内圧に許容されたため血栓除去術が可能であったと考えられた.