2011 年 20 巻 3 号 p. 675-679
症例は81歳,男性.左下肢腫脹出現し当科紹介.CTで腹部大動脈・両側総腸骨動脈瘤および右総腸骨動脈瘤と左総腸骨静脈との動静脈瘻を認めた.腹部超音波検査でも右総腸骨動脈瘤から左総腸骨静脈へのシャントを認め,瘻孔の大きさは14 mmであった.左外腸骨-大腿静脈に血栓を認め左下肢深部静脈血栓症を合併していた.腹部大動脈瘤,両側総腸骨動脈瘤,右総腸骨動脈-左総腸骨静脈動静脈瘻,左下肢深部静脈血栓症の診断の元に術前に一時的下大静脈フィルターを留置し手術を行った.用手的圧迫により動静脈瘻を動脈瘤内より単純縫合閉鎖,Y型人工血管置換術を施行した.動静脈瘻の有無と部位を術前に同定することにより安全に手術が行えた.